銀狐の文具稲荷

-文房具を覆う表現を剥がし愛情を込めて丁寧に貼り付けた簡素な艸菴- (Since 2007-01-04)

余録128 萬年筆奇譚 第7章 反撃篇1節

久しぶりの休日、白山峰夫は、メルセデスベンツSLKを操縦して中央道を走っていた。


ブルーのジーンズに白いコットンシャツ。
真っ赤なドライビングシューズを履いている。


快晴の高速道路は、ルーフを取り去りオープンで走ると気持ちが良い。


サービスエリアから、白山のメルセデスを追うように
2台のトレーラーが滑り出す。

共にナンバープレートは外され、架空の運送会社の社名までコンテナにプリントされている。
恐らく、車台ナンバーは削り取られており、トラック自体の身元もわからないように処理されているのだろう。



トンネルにさしかかる1㎞手前から緩やかに渋滞が始まる。


白山のメルセデスと前方車両の間に割り込むようにウインカーをあげ
トレーラーが割り込んできた。

舌打ちをうちながらもハザードを点灯いて礼を言うトレーラーに
これ以上文句も付けられない。


少しブレーキを踏んで車両間隔を維持させる。

渋滞は少し解消され車速も増していく。
追い越し車線に出てトレーラーを追い越したかったが、
渋滞解消直後とあって追い越し車線にも車が詰まっていた。
まして、トンネル内の車線変更は禁止。


仕方なく、流れに沿って走行。

電光掲示板に、工事による車線規制が表示されていた。
走行車線側を走るより他はなかった。


メルセデスの後方にも、トレーラーが追い越し車線から割り込んできた。
ハザードを点灯いて、礼を言っている。


トンネル内、かなり前方から急停車を知らせるハザードが各車点灯させている。


白山もハザードを点滅させ、停車できる状態に持ち込み、
ふと前方トレーラーを見ると、ナンバープレートは外され、
ブレーキランプも外されているのか点灯もしない。

とっさにルームミラーを確認すると、ハイビームでトレーラーが迫る。
目前は渋滞というのにスピードを上げて来る。



ハンドルを右いっぱいに切りながら、サイドブレーキを引き上げ、
リアタイヤをロックさせテールをわずかにスライドさせた後、
サイドブレーキを解放。アクセルを吹かせる。
メルセデスのレヴカウンターはエンストを起こしたように一瞬ストールした後、
息を吹き返し一気に跳ね上がり、リアタイヤは派手にホイールスピンをする。


そのままテールをスライドさせて右工事車線側にハンドルを切って脱出を試みた。
もうすぐメルセデスの鼻が車線を超えようするとき、1台の車が鼻を押さえてきた。

「なぜ、工事車線に?」


真っ白の日産GT-R。ヘッドライトを点灯させ、猛然とメルセデスの行く手を阻む。


運転席に座る女と目が合った。


鵜飼玲子だった。
可愛い笑みを浮かべ、優しい目をしていた。


メルセデスの後方に居たトレーラーはブレーキを踏むことなく
メルセデスと前方トレーラーにぶつかっていく。

即死した白山峰夫をエンジンルームからガソリンに引火した炎が包んでいく。



メルセデスを挟んで停車した2台の運転手は、トラックを捨てて逃げる。
周囲には高速道路の監視カメラも設置されないエリア。

まして火災でほとんどが消失されている。



事故の模様は、当日夕方のトップニュースでテレビを賑わした。





数日後、バーのボックス席に男女4名が座って酒を飲んでいた。

カスタム社長の並木の隣には、プロフィット社の長沢。
プロフィット社長坂田の隣には、カスタム社の鵜飼。


「ネズミは無事に駆除できましたな」


坂田がウォッカをあおると、並木はニヤリと笑い、
長沢の肩を抱き、


「結局アイツは?」

「いえ、方々手を尽くしてみたのですが」


鵜飼は表情を変えずに報告する。


「誰かの差し金には違いないのだろう」


天井を見上げた坂田は含み笑いを浮かべて、


「うちとオタクを疑心暗鬼にさせて疲弊させたかったという所か」
「わざと調査させて尻尾を出すのを待ったんだ」


「愚かな男です」


長沢はダンヒルに火を点けながらつぶやく。


「ま、正体が分からないのは気持ち悪いが」
「証拠は残っていない」


並木は話を続ける。


「鵜飼君、アイツの味はどうだったかね?」


長沢も興味のある顔で鵜飼をのぞき込む。


「えぇ、はっきり言わせて貰って、とても良かったです」
「しばらくは白山ロスに悩まされますわ」




4人は大きく笑った。














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  1. 2018/01/22(月) 00:00:00|
  2. 余録
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サライ 北斎ブルーの「太軸万年筆」

サライ 2018年 1月号 【付録】 北斎ブルーの「太軸万年筆」


サライ万年筆 001-132

サライ万年筆 001-049

サライ万年筆 001-050



発売日:2017年12月09日
小学館
サライ 2018年 01月号 950円
《付録》 北斎ブルーの太軸万年筆

材質:ステンレス、スチール、銅、ABS
MADE IN CHINA


サライ万年筆 001-051






残念ながら、雑誌特集の日本酒はそんなに得意としないが・・・・

雰囲気的に、セーラー万年筆のプロギア風。
やや地味ではあるが、中年男にはこれくらいが渋くていい。

北斎ブルー。
ブルー好きとしては、嬉しいアイテム。

北斎ブルー(プルシアンブルー)について少し。



1831(天保2)年、71歳を迎えた北斎に
決定的なチャンスが訪れる。

日本橋馬喰町の版元・西村永寿堂の要請で、
8年前から描きためていた冨嶽図36景を
横大判サイズの錦絵で売り出すことが決まった。


版元の西村永寿堂も熱心な富士山信奉者で、
富士講の講元を務めていたから、
この登山ブームに目をつけ、
「冨嶽図」を出せば大当たり間違いなしと
狙いをつけたのであった。

版元がベロ藍を買い付け、北斎に渡す。

何よりも北斎のやる気を誘ったのは、
永寿堂がまだ入手困難な、
舶来の鉱物顔料であるベロ藍(プルシアンブルー)を、
高価な値段で買い付け、北斎に手渡したからである。


ベロ藍は、1704(宝永元)年から1710(宝永7)年にかけて、
ドイツ・ベルリンで染色・塗料製造に従事していた
ディースバッハと錬金術師デイツペルが、
フローレンスレーキという赤い顔料を作ろうとした時、
偶然、青色の色材(フェロシアン化鉄)が発見されたのである。
これが俗に言う、ベロ藍(プルシアンブルー)だ。


日本にベロ藍が入ったのは、1807(文化4)年、
オランダ船の船員の脇荷として長崎へ持ち込まれたという記録が残っている。





ボディーの北斎がデザインした着物の小紋柄をあしらってあり、
手触りも好印象。高級感もある。



北斎の名を冠したこれだけの色を
軸に採用した訳だ、付録だからなんちゃってでは
シャレにはならない。




サライ万年筆 (1) サライ万年筆 (2) サライ万年筆 (3)



キャップは勘合タイプでパチンと開閉するタイプ。

インクカートリッジは、モンブラン風。
欧州規格なら互換がある。
1本同封されていた。


サライ万年筆 (4) サライ万年筆 (5)


細字でやや硬めのペン先。
スチールらしく張りのあるそれ。
インクフローは良く、調整いらず。

硬いながらもカリカリせず、
しっとりとした書き心地。

普通に販売しても良いのにと思った。



たかが付録とナメてました。
恐れ入ります。












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  1. 2018/01/15(月) 00:00:00|
  2. ペン(万年筆)
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あけましておめでとうございます

新年明けまして、おめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。


昨年末に、「呼吸療法認定士」の合格発表がありました。
8名の看護師、セラピストが受験して、
合格したのが4名。
セラピストが合格して、看護師は全滅。

50%の成績でした。
難しかった一昨年の反省からなのか、
昨年は少し優しくしてくれていたみたいで、、
全国の合格率は65%くらい。


なのにこの合格率。
カリキュラムを見直すか・・・・

一応、試験のための勉強会ではないので、
試験合格に特化させる手もあるが、
これだと、試験が終わってもあまり知識として残らない。

歯がゆいところだ。




現在、第3期生の募集をしています。
18日が締め切りです。


また同時に行っている「心電図研究会」は、
8月の心電図検定に向けて勉強会を7月まで開催。
今年から会場は、大阪にもできるみたいで、
受験率の向上に期待をしています。


平成も来年の4月末まで。
歴史が動く瞬間に立ち会いたいと思っています。




皆さんにとりましても良い年になりますよう、
お祈り申し上げます。








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  1. 2018/01/08(月) 00:00:00|
  2. 挨拶
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2017年 今年もありがとう。

秋に日本を襲った台風21号は、日本列島全域を暴風圏にする、
スーパーセルとなり、列島各地に爪痕を残した。

また、総選挙も野党第一党が一日で瓦解するという暴風が吹き荒れた。

そして運輸業界に置いても、風が吹き始めた。


業界大手3社がそろって値上げに踏み切った。

最初に値上げするのは、ヤマト運輸だ。値上げは今年の10月1日から、
佐川急便の値上げ実施は11月21日から。
日本郵便が「ゆうパック」の料金を来年の3月1日からとなる。
運転手の不足、待ち時間等労働時間増加が背景にある。


しかし、重要なのは値上げ時期だ。
早く値上げをする会社ほど荷物の量を減らしたい、
遅く値上げをする会社ほど荷物の量を増やしたいという事情がある。


業界トップのヤマト運輸は、とにかく他社に先んじて値上げをすることで総量を減らしたい。


また2位でシェア31%の佐川急便は、そのヤマトの荷物を奪いたい意欲がある。
ただし、荷物の量が増える年末が来る前に一定のシェア奪取を終えようと考える。

そして3位の日本郵便は、シェア16%と上位2社に引き離されている。
日本郵便であるがゆえに、実は配送キャパシティも3社の中では比較的余裕がある。
そのため今回の値上げのタイミングは、完全にシェアを取りに行くために設定されたように思われる。


一方で興味深いのは、3社の値上げ幅が荷物の大きさによってまったく異なるという点である。
ここに各社の戦略の違いが見て取れる。


ヤマト運輸は、どうせ総量を減らすのであれば、玄関まで配達する手間は同じなのだから、
できるだけ大きい荷物を残しておきたいという考えで、値上げ幅をコントロールしている。


次に佐川急便はこの逆でヤマトが進んで手放そうとしている小さいサイズの顧客を、
ごっそりと引き受けることができる価格設定になっている。

3社の中で、ゆうパックがどのサイズでも同じような値上げ幅になっているあたりは、
とにかく5ヵ月間のタイムラグを利用して、他の2社からシェアを奪いたい。


そんな思惑が透けて見える、今回の値上げ発表であった。


まさに運輸業界の戦国時代。
様々な戦略が垣間見られて面白いと思ったので、
紹介させて頂きました。


そしていろんな風を感じた1年でした。




「銀狐塾」も教科を一つ増やして、
「心電図研究会」を発足。

新しい風が起る。


院内で、47名が参加を希望してきた。
毎月第4金曜日の終業時刻を過ぎてから約1時間。
「呼吸療法認定士勉強会」と合わせて実施。


呼吸療法認定士試験も11月26日(日)。
東京の中野で実施された。

今年もセラピスト、看護師合わせて8名が受験。
今日くらいに合格発表・・・・・


どんな結果になるか。
5人くらいは合格して欲しいものだ。



心電図検定も8月に実施される。
来年何人かは受験する予定。


さらにあと、2つくらい勉強会を増やしたいと考えている。


正月休みに焼酎を飲みながら考えるとしましょう。







皆さん今年もキレイな時間の使い方ができましたか?


2017年もおしまい。
皆様、良いお年をお迎えくださいませ。




1月8日から通常営業になります。
来年、お目にかかりましょう。





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  1. 2017/12/25(月) 00:00:00|
  2. 挨拶
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プロフィール

銀狐

Author:銀狐
雲の近くで紙と筆。本と工藝。
旅・食・美・創・観に魅せられ
鳥・虫・石・艸・風と交わり 閑暇を纏う。

強烈な文具好き。
LAMYとrotringの熱烈な信者であり、
montblancに憧れ、pelikanを愛し、
moleskineを人生のパートナーに迎え、
RHODIAを愛人にして、
Rollbahnと浮き名を流す。

burlingtonにトラベラーズノートと
ファーバーカステルを詰め、
PerkerとfILOFAXを広げた所が書斎。

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