銀狐の文具稲荷

-文房具を覆う表現を剥がし愛情を込めて丁寧に貼り付けた簡素な艸菴- (Since 2007-01-04)

余録117 萬年筆奇譚 第3章 パーティーの女篇2節

二人のエステティシャンの前でバスローブを脱ぎ
中央のベッドで仰向けになる。

一人は下半身にバスタオルを掛けてくれた。

オイルを垂らして全身をほぐしていく。
柔らかい筋肉には女性の指が刺さるように入り込む。

ネイルと髭を剃ってもらう。
女性の勧めで少しだけ髪をカットした。



入店してから2時間半。
ジーンズにポロシャツを着て受付に姿を現す。

クレジットカードを差し出し、

「ありがとう、またお願いするね」

「ぜひお越しください」

クレジットカードと利用明細。
さらに会員証を両手で返しながら笑顔で答える店員。


白山が店を出ると、

「白山様・・・・来た時と帰る時。全く雰囲気が変わるわね」
「それも月1回ルンペンみたいになって現れて」

「でしょう?何をしている人かしら?」



M3が自宅駐車場に停められた時には日は落ちていた。

腕時計で時間を確認した白山は、
自宅に入ってパーティー用の服を選ぶ。

パーティーといっても、所詮企業の合コンのようなもの。

淡く華やかなスーツに濃い緑のネクタイ。
そしてエメラルドのタイピンとカフス。


自宅にタクシーを呼び、ネクタイ、カフスはポケットにねじ込んで乗車。
運転手に会場になっている、六本木の高級ホテルを告げた。


ホテルと道を挟んだ向かいに停車させる。
パーティーが始まる40分ほど早く到着した。


ホテル入り口が見渡せるビルの喫茶店。
窓際に陣取り、アイスコーヒーを注文。

RHODIA No.12とモンブランNo.149の90周年記念モデルを
取り出して、双方企業の来場者をチェックする。


モンブラン マイスターシュテュック 149 90周年記念 10171910_10152081233752861_5542575530997156266_n RHODIA No12 10523866055




一番乗りは、幹事になっている
谷口水男と、カスタムの女性社員だった。

「確か彼女は経理だったかな?」

プロフィット男性職員が数人現れた。
企画開発の連中だ。

タクシーが横付けされて女性職員が3名ほど。
営業部門の職員。

総務課の男性職員も来た。


真っ白なリムジンが止まる。

「・・・・?」

総務課の名取英子と大下悦子だ。
名取はピンクのドレスにケリーバッグをぶら下げている。
巨大なバストを強調するように、胸元が開いている
大下は真っ白で清楚なドレスだ。

確か・・・・名取は・・・・・
ラミー電気の娘だったっけ?
大下の家も・・・・シェーファー重機を経営していた?


「ダメだプロフィットの社員がよくわからない」
「あまり顔を見せていないからなぁ」

もう、パーティーも始まりそうだし、
そろそろ向かうか。


席を立った時、徒歩で現れた女性に驚く。



「鵜飼玲子・・・・・」




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  1. 2017/02/27(月) 00:00:00|
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余録116 萬年筆奇譚 第3章 パーティーの女篇1節

カスタムコーポレーション社長室から総務課に戻った白山。


「課長・・・・腹痛が酷くて・・・・早退して良いでしょうか?」


デスクから顔を上げた草野は、じろりと白山を見た後。


「社長室で絞られて腹に来たな」
「僕は君のお陰で胃が痛いんだよ」


渋々もったい付けながら休暇申請用紙に判をつく。


「では、皆さんお先です」



社屋から自転車に乗って帰宅する白山。
総務課の窓からそれを見ていた大下悦子が独り言のようにつぶやく。


「自転車?近くに住んでいるのかしら?」

「まさか。ここは渋谷よ。アイツが住めるような家はないはずよ」

「でも・・・・・不思議な人ね白山さん」


総務課の窓よりはるか上階。
秘書課の窓から同じように下を覗く鵜飼玲子の姿があった。




渋谷から自転車に乗り世田谷。
R246の坂道も涼しそうな顔をしてペダルをこぐ。

池尻大橋の交差点を曲がり
世田谷公園を横切る。

中目黒に通じる街道脇に、真っ白な塀に囲まれた
戸建て住宅が現れる。

その正面玄関で自転車を降り、門をくぐっていく。



庭は広く芝生が貼られ手入れが行き届いている。
白い平屋建ての大きな母屋、
少し離れてシャッター付き5台収納のガレージ。

ガレージから門まではコンクリートで舗装されている。

リモコンスイッチを押すと音もなくガレージのシャッターが開く。
全て頭から突っ込んで停められた3台の車の尻が見える。


シルバーメタリックのメルセデス・ベンツ・SLKクラス。 ルーフは開いたままだ。
ブルーメタリックのBMW・M3。
そしてブラックのポルシェ911カレラ。


そのガレージの隅に自転車を入れると、母屋に向かった。


玄関の鍵を開け、すぐに広がるリビングダイニング。
そこでヨレヨレのスーツを脱ぎ捨てると、
廊下を挟んだウォークインクローゼットへ。

ジーンズと長袖ポロ。
襟を立て、カジュアルな格好で自宅を出て行く。


ガレージに停めてある中央のブルーメタM3に乗り込むと
プッシュスタートボタンを押す。

一瞬むせるようなセルの音を追いかけるように
3.0リッター直列6気筒ツインスクロールターボ・エンジンが目を覚ます。

サングラスを掛け、シフトレバーをRに。
車体がガレージを出た時にリモコンスイッチを入れシャッターを閉じる。
コンクリートで舗装されたターンエリアで車を回り込ませると、
正面玄関の門扉が自動で開いた。


歩く方が速い速度でゆっくりとアプローチする。
こんな速度でもエンジンが息継ぎをすることもなく、
ミッションもガクガクとしない。


自宅を出て住宅地は制限速度であまり過給圧を上げないようゆっくり流していく。
ほどなく首都高速3号渋谷線に乗り込み六本木へ向かう。

430馬力を絞り出すエンジンは、太い19インチのコンチネンタルタイヤを持ってしても
簡単にテールがスライドしてしまう。
後輪をグリップさせることに神経を使いながら
アクセルを踏み込んでいく。

ハンドル手元のパドルを使って増減速を繰り返すうちあっという間に出口。



そのまま青山公園を過ぎて、エステサロンの駐車場へ。

階段を駆け上がって受付でメンバズカードを提出。
受付の女性が笑顔で応対する。


「白山様、お待ちしておりました」

「今夜は、パーティーがあるんだ。よろしくね」


白山はまずシャワーを浴びる。
エステルーム脇の更衣室で裸になる。
ジーンズにポロシャツでは細身に見えた体も、
筋肉が浮かび上がり無駄な脂肪もない。

そぎ落とされたような下腹部は、
水泳の選手のようだった。

シャワー室では入念に全身を洗い、
熱い湯と水を交互に浴びた。


バスローブを羽織ってアロマの香りがする部屋に通される。


女性エステシャンが2名。白山を待っていた。



















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  1. 2017/01/23(月) 00:00:00|
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余録115 萬年筆奇譚 第2章 水兵篇2節

プロフィットに戻った山城は、秘書課を覗く。


「社長に呼ばれまして・・・・・」

「お待ちしていました、入り口からどうぞ」


秘書課も食事時なので一番若い長沢枝美子一人だった。



秘書課を出て社長室入り口をノックする。


「経理 山城です」

「どうぞ~」


重厚なドアを開け、一礼をしながら入室。

そこには白髪を綺麗にまとめたやや小柄な
坂田匠がデスクに座っていた。

セーラー万年筆のキングプロフィットで書類に目を通しながら、
なにやら記していた。

老眼鏡を外して、書類を裏向けると、
キングプロフィットのキャップを閉めて
ソファーに掛けるよう仕草をする。


キングプロフィット 1320_top



「すまなかったね、お昼なのに」

「いえ、とんでもございません」


そう言いながら、社長がソファーに座るのを待つ。


「実はね、先日補正予算を組んでくれた新商品なんだが」

「水男・・・・いや、谷口から順調と伺っております」

「そこなんだ。どうも気持ちが悪い」

「おっしゃっている意味が・・・・順調なら結構なことでは?」

「補正予算は確か5000万円だったな」

「はい、新技術開発に必要と企画が上がって参りまして経営会議に諮って頂きました」

「安いと思わないか?」


そう言うと、坂田は天井を見上げて黙り込んだ。


「この件、調査いたしましょうか?」

「そうしてくれるか」

「社のお金が適正に運用されているかを調査するのも経理課の仕事です」

「社が疑っていると知られると企画開発の士気にも影響する」

「穏便に済ませます」

「山城君に相談してよかった よろしく頼む」


経理課に戻った山城は、モンブランNo.149を取り出す。
マイスターシュテュック75周年記念モデルだ。


No149 75周年 7380403_n


企画開発の氏名と出身校。
その他必要な情報は、社長からメールで送られてきていた。

プリントアウトした用紙に自分の情報を書き込んでいく。



「なるほど・・・・・奥が深いな」



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  1. 2016/12/19(月) 00:00:00|
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余録114 萬年筆奇譚 第2章 水兵篇1節

「水男?俺だ山城だ。今夜のパーティー急に行きたくなった」

「どうしたんだ?あれだけ嫌がっていたのに」


電話の主、谷口水男は不思議そうに
でも、楽しそうに返事をした。

なんでも即決してしまう山城晶夫がスケジュールを
変更したことがおかしかったようだ。


「わかった、時間と場所を後でメールする」




1週間前



プロフィットコーポレーションの幹部専用地下駐車場に
黒いポルシェ911カレラが滑り込む。

充分に減速した911はヘッドランプを点灯させ
指定の駐車場に頭から停車。

エンジンを停止させ、ドアを開けようとすると
隣のエリアに真っ赤なプジョーRCZがバックで進入してきた。

ポルシェ911カレラから山城晶夫が、
プジョーRCZから谷口水男がそれぞれ下車する。


「おはよう」

「よう」


山城はダークグレーのスーツにタンカーのコードバンシューズ。
ゼロハリバートンのアルミケースを持つ。

谷口は、ベージュのスーツ。ポーターのダレスバッグ。ブラウンだ。


二人は談笑しながら、地下からエレベーターでエントランスへ。
地下駐車場から、直接部署フロアへは行けない。


受付の前を会釈をしながら通過する。
二人の若い受付嬢は「おはようございます」といった後、
顔を赤らめ手を口元に当て互いの顔を見合う。


「そうだ、来週の金曜日、カスタムコーポレーションの女性職員とパーティーがあるんだ」


水男が切り出す。


「へぇ~」

「できればお前にも来て欲しいんだが」

「興味が無いね」

「そう言わずに。今回幹事なので頼むよ」

「他にも行きたい奴はいくらでも居るだろう?」

「先方の幹事からイケメンを揃えて欲しいと言われて・・・・」

「・・・・・・・・」

「たのんだよ。でもお前が来ると女性職員をみんな連れて行かれてしまうが」


谷口は、企画開発室へ。
山城は、経理課へ

それぞれ姿を消した。



昼休み。


山城は谷口を社外の店に昼食を誘う。
リンデン=西洋シナノキの街路樹のお陰で
銀座の歩道も涼しく歩ける。


和食レストランに入り、食事を楽しむ。


「そうだ、新商品の開発はうまくいきそうか?」

「ああ、もう少しで試作機が出来る」


谷口が答える。


「開発予算の補正枠を相談された時はどうなるのかと心配したぞ」

「どうしても新技術の開発には金が掛かる」
「お前が経理いててくれて助かった」

「いや、最後は社長の決裁だ」

「頑張って完成させるよ。後押しをしてくれたお前のためにも」



山城の携帯電話が鳴る。


「社長が呼んでいるみたいだ」

「そうか、大変だな」

「ここは俺がもつよ」


そう言って山城はテーブルに置かれた伝票を持って
会計に足を運んだ。















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  1. 2016/11/28(月) 00:00:00|
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プロフィール

銀狐

Author:銀狐
雲の近くで紙と筆。本と工藝。
旅・食・美・創・観に魅せられ
鳥・虫・石・艸・風と交わり 閑暇を纏う。

強烈な文具好き。
LAMYとrotringの熱烈な信者であり、
montblancに憧れ、pelikanを愛し、
moleskineを人生のパートナーに迎え、
RHODIAを愛人にして、
Rollbahnと浮き名を流す。

burlingtonにトラベラーズノートと
ファーバーカステルを詰め、
PerkerとfILOFAXを広げた所が書斎。

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