銀狐の文具稲荷

-文房具を覆う表現を剥がし愛情を込めて丁寧に貼り付けた簡素な艸菴- (Since 2007-01-04)

余禄97 鴎外の恋人

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『鴎外の恋人』今野 勉・著
(NHK出版/税込み2100円)




鴎外の文学を三島由紀夫は、言葉の芸術家、典雅な日本語を創り上げた天才と称揚している。
その鴎外の文壇処女作「舞姫」は鴎外が四年のドイツ留学から帰国後の明治23(1890)年に発表された。

俗説をふくめ、留学時代の恋人が鴎外を追ってきて、鴎外は会わなかったとかの噂、中傷も続いていた。

ドキュメンタリストの一人者である著者は、三十年かけて「舞姫」の主人公エリスは誰か、
その実像を徹底取材し、解明した。

NHKハイビジョンの特集、ドキュメンタリー番組「鴎外の恋人 百二十年後の真実」の
放送と同時に出版されたのが、本書である。労作であり、「舞姫」のナゾ解きの決定版だ。

「舞姫」のエリスのモデルの美少女、本名はアンナ・ベルタ・ルイーゼ。鴎外はルイーズと愛称していたらしい。

鴎外の遺品の中にあったモノグラムの型金の解読、その中に隠し文字のように潜んでいた恋人の名前の探索、
これが「舞姫」解読のカギになる。

鴎外とエリーゼは舞踏会で出会い、「軽やかに、しなやかに、黄金髪をゆるがし、
青く澄んだ眼で見つめ、白い肌を紅潮させて踊る少女に、鴎外はたちまち心を奪われた」(著者)。
エリーゼは十五歳。

エリーゼと鴎外は結婚を約す。鴎外帰国の四日後に別便で来日を決めてのことだった。
エリーゼは精養軒ホテルに70日滞在して帰独する。
鴎外が家族をふくめ、周辺の圧力に屈服したためだ。
「舞姫」は、鴎外の挫折とザンゲの書であり、家族や知人らを傷つけないためのフィクション。
小説の冒頭「腸日ごとに九廻す」の告白が鴎外を作家にしたともいえる。



高瀬舟の方が好みかな?


2012年11月5日のこと・・・・・

元恋人は、地元男性と結婚して第2次世界大戦を生き延び、
86歳でベルリンで亡くなった。
同地在住のライター、六草いちかさんの調べで明らかになった。


六草さんは乗船者名簿の名前と一致する当時21歳の女性
エリーゼ・マリー・カロリーネ・ヴィーゲルトの存在を教会簿の出生記録などから割り出した。
彼女は66年9月15日、現在のポーランド生まれ。
帽子職人として働いていた1904年までの足取りが分かり、昨年単行本にまとめた。

その後も調査を続け、役所の記録などからエリーゼが05年7月15日に
2歳年上のドイツ人男性と結婚したことが判明。
男性は18年に死去し、彼女は53年8月4日に老人ホームで亡くなっていたという。


物語では発狂してしまう彼女も、実際は平和に長生きしたのかと思うと・・・・ 





また、鴎外に関しては、軍医時代の「脚気惨害をめぐる議論」が、
どうしても頭に残っており、あまり良い印象を持っていないのだが。


確かにドイツではかなりモテたと聞く。

いくら事実に基づいているとはいえ・・・・

小説は小説として余韻を残すからいいので
いちいち調べるのは無粋という気も。






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  1. 2013/01/14(月) 00:00:00|
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銀狐

Author:銀狐
雲の近くで紙と筆。本と工藝。
旅・食・美・創・観に魅せられ
鳥・虫・石・艸・風と交わり 閑暇を纏う。

強烈な文具好き。
LAMYとrotringの熱烈な信者であり、
montblancに憧れ、pelikanを愛し、
moleskineを人生のパートナーに迎え、
RHODIAを愛人にして、
Rollbahnと浮き名を流す。

burlingtonにトラベラーズノートと
ファーバーカステルを詰め、
PerkerとfILOFAXを広げた所が書斎。

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