銀狐の文具稲荷

-文房具を覆う表現を剥がし愛情を込めて丁寧に貼り付けた簡素な艸菴- (Since 2007-01-04)

万年筆談義 : 第3章 

職場の会議室、上座には院長をはじめとする経営陣。

ロの字に配されたテーブル。
医師と所属長がそれぞれ好きな場所に座っていく。

出口に近い場所に陣取ろうと、テーブルにシステム手帳と万年筆を入れたシガーケースを置くと、
上座に手帳を置いた看護部長が、「あら、そんなところに座らないでこっちへおいでよ」
と手招きをする。


「目の前にデカイのが座ると前が見にくいと思ってね」

「そんなことないわよ」
一度座りかけた席を立って、部長の前に。


定刻になり会議が始まる。

病院の今後の方針と年間の予算等。
(10月が年度更新なのだ)
我が放射線も防護扉の交換と、一般撮影CRシステムの更新で予算を計上した。
どうやら満額了承してもらえたようだ。


事務長が次々話を進めていく。
手元の資料に目を通しながら、モンブラン149でシステム手帳に必要事項を筆記する。

この度の会議はトップダウンのもので、
我々が意見を挟んで協議する意味合いの薄いものだったので、
会議は質疑応答を受けた後解散となった。


「ねえ~、さっきからこれがチラチラ目に入って会議どころじゃなかったじゃない」
そう言いながらシガーケースからのぞく149を指さし部長がニヤリと笑う。


モンブラン マイスターシュテュック 集合 (1) モンブラン マイスターシュテュック 集合 (2)



「このモンブランはやっぱり太いわね」

「女性にはどうでしょうね、手に余るかもしれないですね」
「部長には145か146の方が合うのかもしれないですよ」

「やっぱり、もう一度モンブランを使いたいのよ」

149を手に持ちながらそうつぶやく。


部長がモンブランのどのモデルを使っていたのか
正確には知っていないのだが、
部長室がかわって、引っ越しとなった際に紛失してしまったらしい。


「使いたい・・・と思っているなら奮発して買ってみれば?」

「そうしようかしら・・・・・146というのをまた今度見せて」

「いいですよ、後で部長室に伺います」


モンブラン マイスターシュテュック 集合 (3) モンブラン マイスターシュテュック 集合 (4) モンブラン マイスターシュテュック 集合 (5)



会議に使ったシステム手帳を自室に持ち帰り、
146の入ったLVのシガーケースを持って部長室に行く。

部長室には各病棟の看護課長もいて賑やかに皆で話していた。
146を部長に差し出す。

「ああ、これくらいが良いのかしら?」

「自分の癖に合わせてペン先を削っているから書きにくいかもしれないですけど、試してみる?」

「いいの?じゃ、お言葉に甘えて」

キャップを外して、サラサラと線を引く。
部長はキャップを尻に差し込まないで筆記するみたいだ。


「あら、良い感じじゃない」

「他の人が使うと書きにくいと思ったのに」

「私とあなたの書き癖が似ているのかもね。あら?」

「はい?」

「そのオレンジのジャイアンツカラーは?」

なんと不吉な。

「あー、これはデルタって言ってイタリアの万年筆ですよ」

「可愛くて素敵じゃない」
キャップを開けてサラサラ・・・・・
「ん~これも書き味抜群だわ。太いか・・・・でも色が良いじゃない」


「阪神ファンのあなたより巨人ファンの私が持つべき万年筆ね」

「絶対に違うと思いますけど」

「何を言っているの!この色はジャイアンツオレンジよ」

「これはイタリアの太陽のオレンジで決してジャイアンツのようにくすんだオレンジではありません」

「あら、かわいそうに。クライマックスシリーズに出られなかった阪神ファンのひがみね」

「部長、今は万年筆の話で、腐れジャイアンツの話をしているんじゃありませんよ」

「そうだわ、万年筆の話よね。 真弓さんはいい男だったのにね」

「で、モンブランを買うんですか? ナベツネに糸を引かれた原さんも不幸ですね」

「どれがいいと思う? でもクビですもの。次は梨田さん?スケベそうな顔よね」

「145がカートリッジで楽ですけど・・・ 和田さんかもしれないらしいですよ」

「145は持っていないの? ま、誰がなっても同じでしょ?阪神は!」

「はい、持っていないんです。 来年ですよ!」

「実物はお店に行くしかないわね。 いいわね、もう来年の話ができて。
                     うちはまだシーズンが終わっていないのよ~」

「ブティックに行くしかないですかね。 ヤクルトに負けてすぐにシーズンが終わりますよ」


とりあえず、クライマックスシリーズが終わってジャイアンツが日本一になったら買うと言っていた。
看護部長がモンブランを手にすることはないだろう。
(2011年10月20日現在)







いつもありがとうございます。
あなたのクリックが、更新のはげみになります。








  1. 2011/11/17(木) 00:00:00|
  2. ペン(万年筆)
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
<<銀狐の手帳術:第21章 「超」整理手帳 自作リフィル 2012年版 | ホーム | ダ・ヴィンチ A-5システム手帳 DSA800B :第3章(6周年)>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://bunguinari.blog87.fc2.com/tb.php/781-4b85e1ab
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

銀狐

Author:銀狐
雲の近くで紙と筆。本と工藝。
旅・食・美・創・観に魅せられ
鳥・虫・石・艸・風と交わり 閑暇を纏う。

強烈な文具好き。
LAMYとrotringの熱烈な信者であり、
montblancに憧れ、pelikanを愛し、
moleskineを人生のパートナーに迎え、
RHODIAを愛人にして、
Rollbahnと浮き名を流す。

burlingtonにトラベラーズノートと
ファーバーカステルを詰め、
PerkerとfILOFAXを広げた所が書斎。

カテゴリー

ブログ内検索

フリーエリア

                                                                                                                                  ----- キリトリ ------                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                        ----- キリトリ ------

最近の記事

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる


無料カウンター