銀狐の文具稲荷

-文房具を覆う表現を剥がし愛情を込めて丁寧に貼り付けた簡素な艸菴- (Since 2007-01-04)

つやふきん

「つやふきん」決して「艶布巾」としないところが良い!


前回、ビスコンティー ポリッシングクロスの章で
http://bunguinari.blog87.fc2.com/blog-entry-624.html
ちらっと紹介させて頂いたが、当時は実際に持ってはいなかった。


神戸元町のペンアンドメッセージさんへ万年筆の調整に行った際、
発見し保護をしたというものだ。

つやふきん つやふきん (1) つやふきん (2)


イボタロウカイガラムシが分泌するロウ成分をしみこませたもので、
木製品はもちろん、エボナイト、金属などの艶出しにも威力を発揮するとのこと。



古くから日本で作られて来た「和蝋燭(ワロウソク)」は、
ハゼやウルシの樹から採取した「木蝋(モクロウ)」を使っている。

イボタロウの「イボタ」はモクセイ科の落葉低木。
北海道から九州迄、日本の至る所で散見される樹である。

従って、イボタロウは植物性の蝋?の筈が、動物性の蝋に分類される。
イボタの樹に寄生している「イボタロウカイガラムシ(別名 イボタロウムシ)」
と言う昆虫のオスの幼虫が分泌して居るからである。

何れにしろ、高級蝋が採取されるイボタは経済的に価値が有る。
しかし、それ以上に生物学的に非常に面白い植物である。


蚕糸・昆虫農業技術研究所の研究者達に拠って明らかにされた
イボタが講じる自分自身を摂食する食害昆虫に対する防衛戦術である。

イボタは葉に蛋白質を変質させてしまう作用を持つ物質を持っている。
この物質は、蛋白質に含まれる必須アミノ酸である
「Lysin(リジン) 塩基性α―アミノ酸の1つ、L- Lysinは殆んど全ての蛋白質の成分を成し、
 特にヒストン・アルプミン・筋肉蛋白質等に多い」
を変質させ、葉の栄養価を無くしてしまうのである。

その為、昆虫がイボタの葉を幾ら食べても昆虫自身の栄養に成らず、
幼虫は成長出来得ない。従って、やがて餓死してしまう。

この蛋白質変質物質のお陰で、イボタは多くの草食性昆虫の攻撃から護られている。
そう、昆虫を餓死させる「イボタ」の驚くべきそして強かな戦術だ。


蛋白質が変質して栄養が失われるので有れば、イボタ自身も困る事に成る。
ところが、イボタの体は、蛋白質を変質させる原因物質である「オレウロペイン」と言う糖の一種と、
それを活性化させる酵素は、普段は葉の中で別々に隔離して保管されてある。

それが、イモムシ等が葉をガシガシ噛む事でオレウロペインと活性化酵素の両者が混ざり、
初めて蛋白質変質効果を発揮するのである。従って、普段はイボタ自身に全く害は無い。

蛋白質変質効果物質は葉そのものをとても渋くする。
従って、それだけでも摂食昆虫は嫌気がさして、退散する事となる。

オレウロペインと同様の働きを持つ糖類が、クチナシ等様々な植物で見つかっており、
害虫を退治する新しい農薬へと発展する事が期待されている。


しかしながらこれらの事実あっても、イボタロウカイガラムシはイボタに寄生しているのだ。


その理由は、蚕糸・昆虫農業技術研究所が、
同じくイボタを食害する(イボタガ)と(サザナミスズメ)と言う蛾の幼虫を詳しく調査した所、
これ等の昆虫の消化液にアミノ酸の「Glycine(グリシン) Glycocollとも言う
最も簡単な、しかも不斉炭素原子を持たない唯一のアミノ酸」が多く含まれていた。

そこで、実験的にイボタの蛋白質変質物質オレウロペインに「Glycine(グリシン)」を加えると、
蛋白質変質効果が消滅してしまう事が解明された。

つまり、これ等のイモムシ達は、自らの消化液に「Glycine(グリシン)」を混ぜる事で、
イボタの食害防御を突破し、餌にする事に成功したのである。


結局のところは、毒を持つユーカリにそれを分解する能力を持ったコアラのような。
特異なる能力は他を寄せ付けず利益を独占できる。


まさに適応するための進化。
ダーウィンの言う生き残る者の条件なのだ。



つやふきん (3) つやふきん (4) つやふきん (5)


このふきんは、手で触ってもベタつきも無くサラサラで、臭いも無い。
パッと触れただけでは何の変哲も無い黄色いタオル地のハンカチ。
これで磨くと上品な艶が出るのだから・・・・・不思議なものだ。

そうそう、洗濯は禁忌だ。
蝋を洗い流してしまうことになるから。
(かみさんには洗濯をしないでくれと言っておかねば・・・・・)





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  1. 2011/12/05(月) 00:00:00|
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銀狐

Author:銀狐
雲の近くで紙と筆。本と工藝。
旅・食・美・創・観に魅せられ
鳥・虫・石・艸・風と交わり 閑暇を纏う。

強烈な文具好き。
LAMYとrotringの熱烈な信者であり、
montblancに憧れ、pelikanを愛し、
moleskineを人生のパートナーに迎え、
RHODIAを愛人にして、
Rollbahnと浮き名を流す。

burlingtonにトラベラーズノートと
ファーバーカステルを詰め、
PerkerとfILOFAXを広げた所が書斎。

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