石油の値上がりで日本からこの1年で21兆円の所得が流出した。
その多くが湾岸産油国に流れた。
あきれるほどかの国は好況である。
しかし、うらやむことはない。これが「石油の呪い」だから。
石油は儲かる。だから他の産業が育たず国民経済が歪む。
それはそうだろう、石油を売れば金になるのだから工業や農業なんて
バカバカしくてやってられないだろう。
富者はますます富み、貧者は一段と窮する。
中産階級が育たず若者には職がない。インフレも進む。
サウジアラビアが典型。
同時多発テロの犯人の多くがそのサウジアラビア出身だったのは偶然ではないだろう。
サウジアラビアは一時期財政赤字で困っていたが、
昨年は大盤振る舞いをしてなお、7兆円の黒字だった。
砂漠にエコノミックシティーという都市を造り、ドバイが世界最高のビルを誇る。
この都市を拠点に外資を呼び雇用が多い製造業を増やすと言った政策にも力を注ぐ。
ただ、こうした近代路線には宗教勢力の反発が強いらしい。
アブドラ国王は解明君主の聞こえ高いが、「石油の呪い」との闘いは
楽観できる情勢にはないらしい。
呪いと言えば、「シベリアの呪い」というのもある。
ロシアは広いだけで不毛のシベリアに足をすくわれ、長く西欧の後塵を拝した。
ロシアは石油とシベリアの「呪い二重奏」なのだ。
日本は石油も広大な国土も持たず幸運だった。呪われることもない。
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- 2008/10/06(月) 00:00:00|
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