銀狐の文具稲荷

-文房具を覆う表現を剥がし愛情を込めて丁寧に貼り付けた簡素な艸菴- (Since 2007-01-04)

余録116 萬年筆奇譚 第3章 パーティーの女篇1節

カスタムコーポレーション社長室から総務課に戻った白山。


「課長・・・・腹痛が酷くて・・・・早退して良いでしょうか?」


デスクから顔を上げた草野は、じろりと白山を見た後。


「社長室で絞られて腹に来たな」
「僕は君のお陰で胃が痛いんだよ」


渋々もったい付けながら休暇申請用紙に判をつく。


「では、皆さんお先です」



社屋から自転車に乗って帰宅する白山。
総務課の窓からそれを見ていた大下悦子が独り言のようにつぶやく。


「自転車?近くに住んでいるのかしら?」

「まさか。ここは渋谷よ。アイツが住めるような家はないはずよ」

「でも・・・・・不思議な人ね白山さん」


総務課の窓よりはるか上階。
秘書課の窓から同じように下を覗く鵜飼玲子の姿があった。




渋谷から自転車に乗り世田谷。
R246の坂道も涼しそうな顔をしてペダルをこぐ。

池尻大橋の交差点を曲がり
世田谷公園を横切る。

中目黒に通じる街道脇に、真っ白な塀に囲まれた
戸建て住宅が現れる。

その正面玄関で自転車を降り、門をくぐっていく。



庭は広く芝生が貼られ手入れが行き届いている。
白い平屋建ての大きな母屋、
少し離れてシャッター付き5台収納のガレージ。

ガレージから門まではコンクリートで舗装されている。

リモコンスイッチを押すと音もなくガレージのシャッターが開く。
全て頭から突っ込んで停められた3台の車の尻が見える。


シルバーメタリックのメルセデス・ベンツ・SLKクラス。 ルーフは開いたままだ。
ブルーメタリックのBMW・M3。
そしてブラックのポルシェ911カレラ。


そのガレージの隅に自転車を入れると、母屋に向かった。


玄関の鍵を開け、すぐに広がるリビングダイニング。
そこでヨレヨレのスーツを脱ぎ捨てると、
廊下を挟んだウォークインクローゼットへ。

ジーンズと長袖ポロ。
襟を立て、カジュアルな格好で自宅を出て行く。


ガレージに停めてある中央のブルーメタM3に乗り込むと
プッシュスタートボタンを押す。

一瞬むせるようなセルの音を追いかけるように
3.0リッター直列6気筒ツインスクロールターボ・エンジンが目を覚ます。

サングラスを掛け、シフトレバーをRに。
車体がガレージを出た時にリモコンスイッチを入れシャッターを閉じる。
コンクリートで舗装されたターンエリアで車を回り込ませると、
正面玄関の門扉が自動で開いた。


歩く方が速い速度でゆっくりとアプローチする。
こんな速度でもエンジンが息継ぎをすることもなく、
ミッションもガクガクとしない。


自宅を出て住宅地は制限速度であまり過給圧を上げないようゆっくり流していく。
ほどなく首都高速3号渋谷線に乗り込み六本木へ向かう。

430馬力を絞り出すエンジンは、太い19インチのコンチネンタルタイヤを持ってしても
簡単にテールがスライドしてしまう。
後輪をグリップさせることに神経を使いながら
アクセルを踏み込んでいく。

ハンドル手元のパドルを使って増減速を繰り返すうちあっという間に出口。



そのまま青山公園を過ぎて、エステサロンの駐車場へ。

階段を駆け上がって受付でメンバズカードを提出。
受付の女性が笑顔で応対する。


「白山様、お待ちしておりました」

「今夜は、パーティーがあるんだ。よろしくね」


白山はまずシャワーを浴びる。
エステルーム脇の更衣室で裸になる。
ジーンズにポロシャツでは細身に見えた体も、
筋肉が浮かび上がり無駄な脂肪もない。

そぎ落とされたような下腹部は、
水泳の選手のようだった。

シャワー室では入念に全身を洗い、
熱い湯と水を交互に浴びた。


バスローブを羽織ってアロマの香りがする部屋に通される。


女性エステシャンが2名。白山を待っていた。



















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  1. 2017/01/23(月) 00:00:00|
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銀狐

Author:銀狐
雲の近くで紙と筆。本と工藝。
旅・食・美・創・観に魅せられ
鳥・虫・石・艸・風と交わり 閑暇を纏う。

強烈な文具好き。
LAMYとrotringの熱烈な信者であり、
montblancに憧れ、pelikanを愛し、
moleskineを人生のパートナーに迎え、
RHODIAを愛人にして、
Rollbahnと浮き名を流す。

burlingtonにトラベラーズノートと
ファーバーカステルを詰め、
PerkerとfILOFAXを広げた所が書斎。

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